その油、本当に安全? 「毒」とまで言われる植物性油の真実と賢い活用術

クレ君

揚げ物も、サラダのドレッシングも、「炎症を引き起こす元凶だ」って噂を聞いたけど、
本当に、私たちの健康を脅かす存在なの???

クレッシュくん

食事のたびに、ドレッシング食べれないのも嫌だよね?
このモヤモヤを解消するため、植物性油の賢い活用術を探っていこう!

なぜ植物性油は「毒」と呼ばれるのか?

スーパーの棚にずらりと並ぶ、植物性油。ごま油、オリーブオイル、菜種油、コーン油、大豆油、ひまわり油など、その種類は本当に豊富です。これらは、植物の種子や果実から採れる油で、それぞれが独自の風味や特性、そして含まれる脂肪酸の構成を持っています。

脂肪酸は大きく「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」に分けられます。不飽和脂肪酸には、体内で作ることができない「必須脂肪酸」であるオメガ6脂肪酸とオメガ3脂肪酸が存在し、どちらも私たちの体にとって欠かせない大切な栄養素です。

では、なぜ、これほど身近な植物性油が「体に悪い」「毒」とまで言われるようになったのでしょうか。

主な懸念点は以下の3つです。

これらの情報が広まるにつれて、「すべての植物性油は避けるべきだ」という極端な意見も出てきました。これは、現代の食生活における安価で加工された油の多用が、健康に悪影響を与えているという考えに基づいています。もう少し詳しく見ていきましょう!

科学が解き明かす!植物性油と私たちの健康の関係

「植物性油は毒」という強い言葉に振り回される前に、まずは科学的な視点からその真相を探ってみましょう。植物性油が健康に影響を与えるケースは確かに存在しますが、それは油の種類や使い方、そして摂取量に大きく左右されます。

オメガ6脂肪酸の「光と影」 ― 過剰摂取が招く慢性炎症

オメガ6脂肪酸(リノール酸など)は、細胞膜の構成や生理機能の維持に不可欠な必須脂肪酸です。しかし、問題はその「影」、つまり摂取バランスの偏りにあります。オメガ6脂肪酸は体内で炎症を促進する物質の材料となる一方、オメガ3脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHAなど)は炎症を抑制する物質の材料となります。

理想的なオメガ6とオメガ3の摂取比率は1:1〜4:1程度とされていますが、2020年の「国民健康・栄養調査報告」(厚生労働省)によると、現代の日本人の食生活ではこのバランスが大きく崩れ、10:1以上に偏っているとの報告もあります。このような【オメガ6脂肪酸の過剰な摂取】は、慢性的な炎症を引き起こし、心血管疾患、アレルギー疾患、自己免疫疾患などのリスクを高める可能性が、米国心臓協会(AHA)をはじめとする多くの専門機関によって指摘されています。

つまり、「オメガ6脂肪酸そのものが毒」なのではなく、「オメガ3脂肪酸とのバランスが崩れること」が健康上の課題となり得る、というのが現在の科学的見解です。

絶対避けたい!健康に害をなすトランス脂肪酸の実態

植物性油の中でも、特に注意し、極力避けるべきなのが「トランス脂肪酸」です。これは、液体の植物性油を固形にする「水素添加」という加工プロセス(マーガリンやショートニングの製造過程など)や、油を高温で繰り返し加熱することによって生成されます。

トランス脂肪酸は、悪玉コレステロール(LDLコレステロール)を増加させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減少させるため、心臓病や脳卒中のリスクを明確に高めることが科学的に証明されています。世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取量をエネルギー摂取量の1%未満に抑えるよう強く推奨しており、米国食品医薬品局(FDA)は2018年までにトランス脂肪酸の食品への添加を原則禁止しました。日本でも消費者庁が情報提供を進めており、多くの食品メーカーが低トランス脂肪酸製品の開発に取り組んでいます。

「植物性油は体に悪い」という主張の背景には、このトランス脂肪酸という「真の悪役」の存在が大きく関わっていると言えるでしょう。

トランス脂肪酸についてはこちら↓

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③加熱調理に潜むリスク ― 油の酸化と有害物質

油は、光、熱、酸素に触れると「酸化」します。特に、多価不飽和脂肪酸を多く含む油(例:大豆油、コーン油、ひまわり油)は酸化しやすい性質を持っています。酸化した油は、風味が悪くなるだけでなく、体内で細胞を傷つける「過酸化脂質」などの有害物質を生成する可能性があります。

また、油を高温で長時間加熱したり、繰り返し使用したりすると、アクリルアミドなどの有害物質が生成されることもあります。揚げ物などで使い古した油や、煙が出るほど高温になった油は、健康リスクを高める可能性があるため、注意が必要です。日本栄養士会なども、油の適切な保存と調理方法の重要性を呼びかけています。

健康の味方となる植物性油 ― 見分け方と活用法

すべての植物性油が健康に悪いわけではありません。むしろ、健康に良い影響を与え、積極的に食生活に取り入れたい植物性油も数多く存在します。

これらの油は、適切な選び方と使い方をすれば、あなたの健康的な食生活を力強くサポートしてくれるでしょう。

脂肪酸のゴールデンバランス ― 専門家が語る重要性

「植物性油は毒」という一括りのレッテルを貼るのではなく、重要なのは脂肪酸の種類と、その摂取バランスです。日本栄養士会や日本脂質栄養学会などの専門機関は、特定の油を排除するのではなく、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、そして多価不飽和脂肪酸(特にオメガ3とオメガ6)をバランス良く摂取することを推奨しています。

特に、現代人が不足しがちなオメガ3脂肪酸(魚油、亜麻仁油、えごま油など)を意識的に摂り、オメガ6脂肪酸とのバランスを整えることが、健康維持には不可欠だと考えられています。これは、体内での炎症メカニズムのバランスを正常に保つ上で極めて重要です。

もう迷わない!植物性油との付き合い方を変える実践アドバイス

植物性油をむやみに恐れる必要はありません。その特性を理解し、賢く選び、賢く使うことで、健康的な食生活を築くことができます。

1. あなたの目的に合った油選びの基本ルール

スーパーの油売り場で迷わないために、選び方のポイントを押さえておきましょう。

  • 加熱調理の主役には「酸化しにくい」油を
    炒め物や揚げ物など、高温での加熱を伴う料理には、酸化に強く安定性の高いオリーブオイル(ピュアオリーブオイル)、米油、アボカドオイル、菜種油などが適しています。飽和脂肪酸が多いココナッツオイルも加熱に強い選択肢です。
  • 生食・料理の仕上げには「栄養価の高い」油を
    亜麻仁油やえごま油など、オメガ3脂肪酸が豊富な油は非常に酸化しやすいため、加熱せず、サラダのドレッシングやヨーグルト、スムージーに少量加えるのがおすすめです。開封後は冷蔵庫で保存し、鮮度が落ちる前に早めに使い切りましょう。
  • 表示を必ず確認!「トランス脂肪酸フリー」を選ぶ
    加工食品(パン、菓子、揚げ物など)を購入する際は、原材料表示を必ず確認し、「マーガリン」「ショートニング」「ファットスプレッド」などの表記があるものは、トランス脂肪酸を含む可能性が高いため、できるだけ避けるか、摂取量を控えめにしましょう。

2. 油の鮮度と安全を守る!調理・保存のコツ

油は熱や光、空気に触れると劣化が進みます。日々の調理と保存で、油の品質を保ち、健康リスクを低減しましょう。

  • 高温での長時間加熱は避ける
    揚げ物や炒め物は、短時間で手早く済ませるように心がけましょう。揚げ物の際は、適正な油温(一般的に170〜180℃)を保ち、煙が出るほど高温にならないように注意します。
  • 油の使い回しはしない
    一度使った油は酸化が進んでいます。特に揚げ物油は、繰り返し使うのは避け、もったいなく感じるかもしれませんが、使い終わったら処分しましょう。
  • 保存方法に細心の注意
    油は光、熱、酸素に弱いため、シンク下などの冷暗所で密閉して保存し、開封後はできるだけ早めに使い切りましょう。遮光性のある瓶に入ったものを選ぶのも良い方法です。
  • 多様な調理法を取り入れる
    揚げ物や炒め物ばかりではなく、蒸す、茹でる、焼く(オーブンやグリル)、煮るなど、様々な調理法を取り入れることで、油の摂取量を自然と減らすことができます。

3. 知らずに摂っているかも?「隠れ油」の存在を知って、気づく習慣

私たちは、意識しないうちに多くの油を加工食品や外食から摂取しています。これらを「隠れ油」として意識することが、健康管理の第一歩です。

  • 加工食品の栄養成分表示をチェック
    スナック菓子、インスタント麺、レトルト食品、菓子パン、コンビニのお惣菜など、一見油が多くなさそうな食品にも、意外なほど多くの油が含まれていることがあります。原材料表示や栄養成分表示を確認する習慣をつけましょう。
  • 外食でのメニュー選び
    外食では、揚げ物や炒め物が多いメニューは控えめにし、焼き物や蒸し料理、煮物などを選ぶなど、意識的に油の摂取量をコントロールしましょう。中華料理やフレンチなどは油を多く使う傾向があるので注意が必要です。

4. 全体で考える食のバランス ― 油はあくまで「一部」

特定の油を「毒」と決めつけるのではなく、食生活全体で脂肪酸のバランスを考えることが、健康維持への近道です。

  • 青魚を食卓に
    サバやイワシ、アジなどの青魚には、DHAやEPAといった良質なオメガ3脂肪酸が豊富に含まれています。週に2〜3回は魚を食べることを心がけましょう。
  • ナッツ類や種実類も活用
    アーモンド、くるみ、チアシード、亜麻仁シードなども、健康的な脂肪酸や食物繊維を供給してくれます。おやつやサラダのトッピングに取り入れるのも良いでしょう。
  • 野菜や果物をたっぷり摂る
    抗酸化物質や食物繊維が豊富な野菜や果物は、体内の酸化ストレスを軽減し、油の代謝を助ける役割も果たします。様々な色の野菜をバランス良く取り入れましょう。

油は敵じゃない!知識が導く健康な食卓

特定のシードオイル(キャノーラ、コーン、綿実、グレープシード、大豆、米ぬか、ひまわり、サフラワー)が、オメガ-6含有量が高いため問題があるとして批判されているが、しかし、これらの油が通常の調理量で本質的に害を及ぼすという主張は概ね否定されてました。

  • オメガ6脂肪酸の過剰摂取は、慢性炎症のリスクを高める可能性がありますが、これは「オメガ3脂肪酸とのバランスの崩れ」が問題であり、オメガ6脂肪酸そのものが毒ではありません。むしろ、私たちの体に不可欠な必須栄養素です。
  • トランス脂肪酸は、科学的に健康リスクが非常に高いと証明されており、極力避けるべき「悪玉」です。しかし、これはすべての植物性油に当てはまるわけではなく、その加工プロセスや加熱方法が問題となります。
  • 加熱による油の酸化も注意が必要ですが、適切な油を選び、調理法を工夫することでリスクを軽減できます。


「植物性油は毒」という極端な言説は、油の種類や品質、使い方、そして摂取量といった重要な要素を無視しています
本当の危険性は油そのものにあるのではなく、これらの油が「脂肪、砂糖、ナトリウムが豊富な全体的に不健康な食品製品=超加工食品」の一部として使われている点にあるである。  


つまり、

植物性油自体がすべて「毒」であるわけではなく、その「加工形態」や「超加工食品の成分」として摂取される場合に、健康上の懸念が高まる。」

という結論です。

  • 包装されたスナック、ビスケット、クラッカー
    食感や保存性を高めるために植物性油が使用されます。  
  • アイスクリーム、冷凍デザート
    特に安価な製品では、乳脂肪の代わりに植物性油が使われることがあります。  
  • ペストリー、ケーキ、ケーキミックス
    焼き菓子には、生地の柔らかさや風味のために植物性油やショートニング(加工された植物性油)がよく使われます。  
  • インスタント麺
    麺を揚げる工程で植物性油が使われることが一般的です。  
  • 冷凍ピザ
    生地やトッピングに植物性油が含まれることがあります。  
  • チキンナゲットなどの加工肉製品
    揚げ物として調理される際に植物性油が使われたり、つなぎとして含まれたりします。  
  • 植物性代替肉や代替チーズ
    これらは動物性製品の代替として作られますが、食感や風味を再現するために、しばしば加工された植物性油や添加物が多量に使用されます。  
  • チーズスライス、スプレッド、一部のシュレッドチーズ、フレーバーチーズ
    これらは工業的に加工され、添加物や加工油を含むことがあります。  

重要なのは、無批判に情報を鵜呑みにするのではなく、科学的根拠に基づいた情報を知り、油の種類や使い方、摂取量を意識して賢く判断することです。

無意識に取りすぎてしまう、植物性油。
今日から、あなたの食卓に次のような小さな変化を取り入れてみませんか?

  • 揚げ物の頻度を減らし、蒸し料理や焼き料理を増やす。
  • 炒め物には、オリーブオイルや米油など、加熱に強い良質な油を選ぶ。
  • サラダには、亜麻仁油やえごま油を少量かけるなど、意識的にオメガ3脂肪酸を摂る。
  • 加工食品の表示をよく見て、トランス脂肪酸が含まれていないか確認する。
  • もし食生活について不安なことや疑問に思うことがあれば、信頼できる医師や管理栄養士に相談してみる。

正しい知識は、私たちの選択を強くします。賢い選択で、不安のない、豊かで健康的な食生活を築いていきましょう。

免責事項: 本記事は、一般的に入手可能な情報に基づいて作成されています。特定の食品や添加物の摂取については専門家にご相談される事をおすすめいたします。

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