トランス脂肪酸、知っていますか?知らないと怖い!健康への影響と避けるべき食品
健康について考えてると「トランス脂肪酸」って言葉が良く出てくるんだけど、一体何のこと?体に悪いって聞いたけど、本当?
いい質問だね。トランス脂肪酸は、一部の油脂に含まれる成分で、摂りすぎると体に悪影響を及ぼす可能性があるんだ。でも、正しく理解すれば、恐れる必要はないよ。これから詳しく説明しよう。
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近年、健康志向の高まりとともに、「トランス脂肪酸」という言葉を耳にする機会が増えました。しかし、トランス脂肪酸が具体的にどのような影響を及ぼし、どのような食品に含まれるのか、正しく理解している方は少ないかもしれません。
この記事では、トランス脂肪酸の健康への影響、特に心臓病リスクとの関連性について詳しく解説します。また、トランス脂肪酸を多く含む食品や、摂取量を減らすための具体的な方法も紹介します。
トランス脂肪酸とは?
トランス脂肪酸は、脂質の一種で、自然界にも存在しますが、主に植物油を加工する過程で生成されます。
例えば、液体の植物油を固める「硬化」という工程でトランス脂肪酸が生成されます。これは、マーガリンやショートニングの製造でよく用いられる手法です。また、高温での調理もトランス脂肪酸を生み出す原因の一つです。揚げ物や炒め物など、毎日のように行う調理でも、知らず知らずのうちにトランス脂肪酸を摂取している可能性があります。さらに、牛や羊などの反芻動物の肉や乳製品にも、微量ながらトランス脂肪酸が含まれています。
- マーガリンやショートニングの製造
液体の植物油に水素を添加して固める過程(硬化)で、トランス脂肪酸が生成されます。 - 高温での加熱
油を高温で加熱する調理過程でも、トランス脂肪酸が生成されることがあります。
トランス脂肪酸は、食品の風味や食感を良くしたり、保存性を高めたりする効果があるため、様々な加工食品に利用されてきました。しかし、その一方で、健康への悪影響が懸念されています。
トランス脂肪酸を含む食品
工業的に生成されるトランス脂肪酸を含む食品
これは、植物油に水素を添加して硬化する過程で生成されるもので、主に以下の食品に含まれていました。
- マーガリン
- ショートニング
- ファットスプレッド
- これらを原料としたパン、ケーキ、ドーナツなどの洋菓子
- 揚げ物
ただし、アメリカでは2018年以降、これらの食品への使用が原則禁止されています。日本においては、2020年以降、消費者庁が「加工食品へのトランス脂肪酸の使用に関する指針」を定め、トランス脂肪酸を含む油脂の加工食品への使用をできる限り低減するよう、事業者に求めています。そのため、多くの加工食品でトランス脂肪酸の含有量は減少していますが、完全に含まれていないわけではありません。
天然に存在するトランス脂肪酸を含む食品
これは、牛や羊などの反芻動物の胃の中で微生物の働きによって生成されるもので、以下の食品に含まれます。
- 牛肉
- 羊肉
- 牛乳
- 乳製品(バター、チーズなど)
これらの食品に含まれるトランス脂肪酸は微量であり、健康への影響は工業的に生成されるトランス脂肪酸に比べて小さいと考えられています。
注意点
- アメリカでは、工業的に生成されるトランス脂肪酸は、2018年以降、食品への使用が原則禁止されています。
- 日本では、2020年以降、加工食品へのトランス脂肪酸の使用は完全に禁止されているわけではありません。消費者庁が「加工食品へのトランス脂肪酸の使用に関する指針」を定め、できる限り低減するよう事業者に求めています。
- 天然に存在するトランス脂肪酸は、微量であり、健康への影響は小さいと考えられています。
これらの情報を参考に、食品を選ぶ際には、食品表示をよく確認し、トランス脂肪酸の含有量をチェックするようにしましょう。
トランス脂肪酸の健康への影響:心臓病リスクの増加
トランス脂肪酸は、心臓病のリスクを大幅に高めることが、多くの研究で示されています。
- 悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加
トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増加させ、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を減少させる働きがあります。これにより、動脈硬化が進み、心臓病のリスクが高まります。 - 中性脂肪の増加
トランス脂肪酸は、中性脂肪を増加させる働きもあります。中性脂肪は、動脈硬化や心臓病のリスクを高める要因の一つです。 - 炎症反応の促進
トランス脂肪酸は、体内の炎症反応を促進する働きもあります。炎症は、動脈硬化や心臓病の発症に関与していると考えられています。
2─6─2.トランス脂肪酸
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
2─6─2─1.基本的事項
工業的に水素添加を行い、不飽和脂肪酸(液状油)を飽和脂肪酸(固形油)に変えるときに、副産物として多くの種類のトランス脂肪酸が生じる。このとき生じる多くの種類のトランス脂肪酸を含む油脂を摂取すると、冠動脈疾患のリスクになることが幾つかの大規模コホート研究で示されている。また、自然界に存在するトランス脂肪酸(大部分はバクセン酸)は、反芻動物の胃で微生物により生成され、乳製品、肉の中に含まれているが、冠動脈疾患のリスクにはならないことが多くの研究で示されている 。
参照:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)策定検討会」 報告書 によると、トランス脂肪酸は、悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らすことで、動脈硬化を促進し、心臓病のリスクを高めます。さらに、中性脂肪を増やし、体内の炎症反応を促進する作用もあるとされています。
世界保健機関(WHO)は、トランス脂肪酸の摂取を総エネルギー摂取量の1%未満に抑えることを推奨しており、これは1日あたり約2g以下の摂取量に相当します。
日本におけるトランス脂肪酸の規制
心臓病以外にも、トランス脂肪酸は様々な健康リスクを高める可能性が指摘されています。
厚生労働省の報告書や食品安全委員会の情報によると、トランス脂肪酸は糖尿病のリスクを高めたり、認知症の発症に関連したりする可能性があります。また、アレルギー反応を悪化させたり、男性の生殖機能に悪影響を及ぼしたりする可能性も示唆されています。これらの関連性についてはまだ研究段階であり、さらなる調査が必要とのことです。
食品表示の見方:トランス脂肪酸の表記
日本では、2020年4月1日より、加工食品の栄養成分表示にトランス脂肪酸の含有量を表示することが義務付けられています。しかし、「トランス脂肪酸0g」と表示されていても、完全にゼロというわけではありません。100gあたり0.3g未満であれば「0g」と表示できるルールがあるためです。
とはいえ、これはごく微量であり、健康への影響はほとんどないと考えられています。しかし、気になる方は、「トランス脂肪酸0g」と表示されている食品でも、原材料名をチェックしてみましょう。
マーガリンやショートニングなどの言葉があれば、微量のトランス脂肪酸が含まれている可能性があります。これらの油脂は、かつては多くの加工食品に使用されていましたが、現在では代替油脂への切り替えが進んでいます。
また、揚げ油の種類にも注目しましょう。パーム油などは比較的トランス脂肪酸が生成されにくい油脂です。
このように、食品表示を正しく読み解くことで、トランス脂肪酸の摂取量をコントロールし、より健康的な食生活を送ることができます。
トランス脂肪酸を避けるための7つのポイント
トランス脂肪酸の摂取量を減らすために、今日から実践できる7つのポイントを紹介します。
- 食品表示を必ずチェックする: 加工食品を購入する際は、栄養成分表示でトランス脂肪酸の含有量をチェックしましょう。「トランス脂肪酸0g」と表示されていても、微量に含まれている可能性があるため、原材料名も確認しましょう。
- マーガリンやショートニングの使用を控える: 自宅で調理する際は、バター、オリーブオイル、菜種油など、トランス脂肪酸を多く含まない油脂を選びましょう。
- 揚げ物を控える: 揚げ物は、高温で調理するためトランス脂肪酸が生成されやすいです。揚げ物を食べる頻度を減らし、焼く、蒸す、煮るなどの調理法を取り入れましょう。
- スナック菓子やファストフードを控える: これらの食品は、トランス脂肪酸だけでなく、塩分や糖分も多いため、健康への影響が大きいと考えられています。
- 加工食品を減らし、自炊を心がける: 自宅で調理することで、使用する油脂の種類や量をコントロールすることができます。
- 魚を積極的に食べる: 魚に含まれるオメガ3脂肪酸は、善玉コレステロールを増やし、中性脂肪を減らすなど、心臓の健康に良い影響を与えると言われています。
- 外食時のメニュー選びに注意する: 外食をする際は、揚げ物や炒め物など、油を多く使った料理を避け、できるだけ素材の味を生かした料理を選びましょう。
これらのポイントを参考に、日々の食生活を見直すことで、トランス脂肪酸の摂取量を効果的に減らすことができます。
トランス脂肪酸の代替品:健康的な油脂を選ぶ
トランス脂肪酸を避けるためには、以下の油脂を選ぶようにしましょう。
- オリーブオイル
オレイン酸が豊富で、悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす効果が期待できます。 - 菜種油
オレイン酸やリノール酸など、バランスの取れた脂肪酸組成を持ち、ビタミンEも豊富です。 - 米油
オレイン酸やリノール酸、ビタミンEが豊富で、酸化安定性も高いのが特徴です。 - えごま油/亜麻仁油
α-リノレン酸が豊富で、アレルギー症状の緩和や血圧を下げる効果も期待できます。ただし、熱に弱いため、加熱調理には向きません。 - バター
トランス脂肪酸は含まれませんが、飽和脂肪酸が多いため、適量を心がけましょう。
これらの油脂は、それぞれ風味や特徴が異なるため、料理に合わせて使い分けるのがおすすめです。
その他
- ココナッツオイル
中鎖脂肪酸が豊富で、エネルギーになりやすいのが特徴です。ただし、飽和脂肪酸が多いため、摂りすぎには注意が必要です。 - MCTオイル
中鎖脂肪酸のみを抽出したオイルで、消化吸収が早く、エネルギーになりやすいのが特徴です。
これらの油脂をバランス良く摂取することで、トランス脂肪酸を減らしつつ、健康的な食生活を送ることができます。
まとめ
トランス脂肪酸は、心臓病のリスクを高めるなど、健康への悪影響が懸念されています。しかし、日本においては、2020年以降、消費者庁が「加工食品へのトランス脂肪酸の使用に関する指針」を定め、トランス脂肪酸を含む油脂の加工食品への使用をできる限り低減するよう、事業者に求めています。
この指針により、多くの食品メーカーがトランス脂肪酸の低減に取り組んでおり、実際に多くの加工食品でトランス脂肪酸の含有量が減少しています。
したがって、現在の日本の食生活においては、トランス脂肪酸による健康リスクは以前に比べて低くなっていると考えられます。
それでも、食品を選ぶ際には、食品表示をよく確認し、トランス脂肪酸の摂取量を減らすように心がけましょう。バランスの取れた食生活を送り、健康的な生活を送りましょう。
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